災害ボランティアの心得

 ボーイスカウト出身の、消防署司令長を務める知人に会う機会がありました。

 現在もなお、全国各地から公的機関の応援部隊が被災地に駐留して活動している事はご存知の通りです。被災地へ入った時、多くの他県ナンバの各種車両を見かけます。結構、頼もしい。彼らが被災地入りに際して、幾つかの心得があると聞きました。色々と参考になるお話があったのですが、特に印象に残ったのは以下の点。「控える」のではなく、「するな!」でしたけど。

・被災地で笑顔を見せたり笑ったりは控えよ
・写真撮影を控える。被災状況撮影であっても、目立たぬように配慮
・仲間同士の私的な話は控える。周囲の耳目から遮断された、例えば締め切ったテント内で


 石巻では、乗った車を被災した大型駐車場に置きました。夕方に戻った時、入口で救援ボランティア活動で現地入りしたと思われる10人ほどの団体が、それぞれ「記念写真」を撮影する光景に出くわしました。結構大きな声が弾んでいます。傍から見ると、楽しそうな雰囲気。撮影する後ろを、被災者と思しき老齢の二人連れが通り過ぎましたが、彼らを見るそのお二人の刺すような視線に気付いたでしょうか。

 過去の震災で、壊滅した家屋の前でいわゆる観光ボランティアが、ピースサインでニコニコと、子連れで記念写真を撮影する場に出くわした事もあります。今回の岩手・宮城行きでたくさんの県外ナンバを見かけましたが、どう見てもお見舞いやボラ活動には見えぬ一家が、子連れでキャンピングカーで走るのも見かけました。これもまた、観光ボラにしか見えません。誤解であって欲しいけど。こうした行為に走った瞬間、私たちは「加害者」となります。形式論議だけど、原発事故にしても、長年にわたってその設置にお金を出してそれを容認し(設置を決めた議員を選び、税を払いました)、その電力を飽食した私は間違いなく「加害者」。エラそうに他人を責めることはできませんけど……。

 避難所で、外部からお手伝いに駆けつけたボランティアが隅に集まり、時として私語をかわす場合があります。仲間うちですから、つい声が大きくなって「談笑」、文字通り笑い声が湧きおこる。その瞬間、被災した方々は彼我の間の、高く厚い壁の存在を思い知る。所詮、「他所者」。「ボランティアのつやつやとした顔が癪にさわる」という方も、被災者にはいました。

 この心得、実行は難しくありません。被災地へ行く方々に、ぜひ心得て頂きたいというよりも、自戒か。

【2011/6/9追記】

 検索していましたら、早稲田大学のボランティアセンタが学生向けに発信した心得がヒットしました。よくまとめられていると思います。"無断"でご紹介を。

WAVOC(早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター)はこれまでたくさんの学生ボランティアの応援をしてきました。その経験から、これから被災地に行ってボランティア活動をしようとする学生にこれだけは守ってほしいことを伝えます。
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●1条 ボランティア保険(災害プラン)に入る
 ボランティアの基本は「自己責任」です。何か事故や病気があっても自分で対応することになります。保険に入ることはそのための準備になります。

●2条 自分の食料と寝る場所は自分で確保する
  「とりあえず避難所で食べて寝ればいいや」というのは間違いです。特に、夜は治安の問題などもありますので、安全に宿泊できる場所をあらかじめ確保してください。

●3条 被災地では信頼できる人と一緒に行動する
  活動をするにあたっては安全に十分に注意してください。性暴力など被災地で起こりがちな危険な問題に巻き込まれないためにもできるだけ単独行動は避けてください。

●4条 被災者が自分たちでやる仕事を取らない
 被災地に行くとできることをすべて「やってあげたい」という気持ちになりがちです。しかし、復興するのは現地の人たちです。その力をどう応援できるかが大切です。

●5条 涙が止まらなくなったら活動をやめる
 悲惨な現状や嗚咽する人などに接する場合、自分も心の傷を受けることがあります。自分の心をコントロールできない時はその場から離れたり自宅に帰る決断をしてください。

●6条 できないことは「出来ません」とはっきり断る
  被災した人の依頼を断るのは難しいことです。しかし、無償のボランティアでも「やります」と言ったことには責任が伴います。無責任にならないように行動することが必要です。

●7条 不眠不休で頑張らない
  被災地では気持ちも高ぶり使命感から精一杯活動することにもなりがちです。しかし、疲労から病気になることは被災地の迷惑になります。休むなど体調管理に注意してください。

●8条 被災者の写真はとらない
  友人や仲間に報告するために写真を撮りたくなると思います。しかし、そこは被災者の空間です。原則として被災者や倒壊した家、ボランティアの集合写真は控えてください。

●9条 まずは相手の話を聞く
  被災者を少しでも元気づけようと「○○さんの分まで頑張ってください」、「元気になってください」と言いがちです。励ましの言葉を軽々しくかけないことも大切です。

●10条 ボランティア活動の運営について批判はしない
  被災地のボランティア活動では「仕事がない」、「指示が悪い」などの批判もあります。しかし、憤慨しても何も生まれません。できることは何かを自分で考え行動することです。

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早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター



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この記事へのコメント

村田 説子
2011年05月21日 18:03
お邪魔します。
息子が、ビーバーとカブでいつもお世話になっております。時々立ち読みさせて頂いておりました、読み逃げですみません。       『観光ボランティア』なるものが存在しているショックと、言動一つで捉えられ方が変わってしまうのだという当たり前の事。とても考えさせられてしまった一件でした。        母親として、仕事を持つ者として...常に相手の立場にたって、物事を考えなければならないと再認識できました。  
坂本 正志
2011年06月09日 11:50
 災害ボラ活動はスカウト運動の目的ではありませんが、活動のひとつと思っています。「いつも他の人々を助けます」と掲げてもいますし。「相手の立場に立って物事を」は、難しい事ですが確かにその通りですね。私の場合、他人の痛みを共有するのはとても難しいのですが、「思いやり」と言葉をかえると何とかなりそうです。

 三姉妹の孫娘がいます。大槌町で見た、山の中腹に残る津波で流された女児のズボン。孫娘の姿と重なり、とても衝撃を受けました。野次馬気分でボランティアなど、出来るはずもありませんね。

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